紅ゆずるのスター力 ~劣等生がトップになれた理由~

まずはじめに、台風19号で被害に遭われた方々に、お見舞い申し上げます。

10月13日、星組トップスター・紅ゆずるさんとトップ娘役・綺咲愛里さん(あーちゃん)が退団されました。 私は、千秋楽をライブビューイングで拝見しましたが、予想通り泣かされたー。

ヅカファンになって一年の私でも泣ける、お二人の退団。そこに紅さんの魅力があると思い、私の思いを書いてみます。 (紅あーコンビに泣かされたのは事実ですが、理由の多くが紅さんだと感じるので、タイトルは紅さん限定にさせていただきました)

ファンに見つけてもらえる存在感

紅さんが、退団にあたってのコメントとしてまず仰っていたのは「私を見つけてくれたファン」への感謝。

下級生の頃から応援し続けてくれたファンの存在は、トップになるために欠かせないものですが、そもそもファンが付くためには、ご本人がファンに見つけてもらう必要があります。

紅さんがモブ止まりの時代の舞台を拝見したことがないのですが、身長が高く、端正な顔立ちは一因だったでしょうし、最後まで印象的だった表情での演技が下級生の頃から為されていたなら、目に止まるでしょう

たとえ舞台の目立たないところにいても見つけてもらえる存在感があったからこそ、ファンがつき、応援してもらえたのだと考えます。

宝塚への熱い愛

紅さんが、入団前から熱烈な宝塚ファンであったことは有名ですが、この熱い愛があったからこそ、役がもらえなくても腐らずに(ご本人談@スカステ『スター・ロングインタビュー』)、宝塚という夢の舞台を汚さないために、常に手を抜かず、最善を尽くし続けられたのだと思います。

その努力が、ファンに見つけてもらえる熱さにも繋がったのかもしれません。

組子に愛される人柄

退団にあたり、組子(その組所属のメンバー)の皆さんが紅さんを慕っていることが、いろいろな場面で伝わってきました。

千秋楽では、たくさんの泣きそうな or 泣いてる組子、自分の退団よりも紅さんの退団を惜しむ同時退団者、最後には組長すら泣いてしまう。

人気だけ、才能だけではトップスターにはなれないとはよく言いますが、個人的には、トップスターの資質として、組子をまとめるリーダー力が必要だと思っています

これ、宝塚にハマる前には思っていなかったのですが(人気があればトップになれると思っていた)、各組を見ていて、こう感じるようになりました。

私は仕事柄、リーダー力のある人を見極めて、その人を中心にチーム構成を考えることがあるのですが、リーダー力のある人って、多くはない。 それこそ、技術はピカイチなのに 、リーダーは任せられないという人はよくいます。

紅さんの具体的なリーダー的行動はわかりませんが、稽古中から真面目に作品と向き合う姿は後輩が参考にする価値のあるものだったでしょうし、豊かなトーク力は、良い人間関係を作るのに大いに役立つものでしょう。 ※ご本人曰く、実は自分は人見知りだけれども、後輩とも良い関係を作るために自分から話しかけるようにしているそうです。

 

(余談ですが、私が宝塚にハマッた一因が紅さんのトーク力でした。タカラヅカスペシャルのライブビューイングを見て「タカラジェンヌってこんなに面白いの!?(いい意味で)普通の人なんだ!」と思わせてくれて、一気に親近感が湧いたのでした)

あと、おそらくご自身が劣等生だったからこそ謙虚な姿勢が染み付いており、周りへの配慮もできる方なのだろうと思います。 スカステのインタビュー番組では、『メイちゃんの執事』主演時でも「周りに迷惑をかけたらどうしよう、どうしようばかり考えていた」とか、トップになってからも「一人だけでは輝けない存在。組子やスタッフがいて、トップとしていられる環境があってこそのトップスター」と仰っていました。

組子の前ではカッコつけない、本心でぶつかる。組子に頼ってほしいし、私も頼る、とも話してたなぁ。後輩に「やらなきゃいけない」ではなく「やってみよう」と思わせる指導をするとか。これって、絶対に好まれる先輩像ですよね。

路線スターを限定しすぎない星組文化

紅さんは千秋楽の挨拶で「いつも舞台の端にいた私を、そのままにしておいてくれないのが星組」(ニュアンス)と仰っていました。

3期上で前々星組トップスター、柚希礼音さんに多くのことを教えていただいた影響が大きそうですが、そもそも星組には、たとえ成績が悪くても見離さない、もしくは、何らかの見込みが少しでもあれば抜擢してくれる文化がある(もしくはあった)のではないでしょうか。

実際、新人公演の主役経験者が偏り、若年層で路線スターが限られてしまう傾向にある他組もあるように思います。

もし、紅さんがそのような文化の組にいたら、7年目で新人公演初主演ということはなかったでしょう。しかも宝塚を代表する演出家・小池先生の大作『THE SCARLET PIMPERNEL』の主役なんて、軽々しく与えられるものではないはず。それをやってのけた星組、すごいです。

劣等生だからこそトップになれたのかもしれない

スタート地点は下から2番目でも、諦めなければ夢は叶うということを体現した紅さんは、多くの下級生、そしてこれから宝塚を目指す方、さらには毎日の生活で何らかの悩みを抱えるファンの方にまでも勇気を与える存在になったと思います。

弱者が、努力の末に勝利を勝ち取るって、とっても日本人が(日本人に限らず?)好きそうな展開ですよね。つい応援したくなる

さらに、コンビを組むことになったあーちゃんも、決して優等生とは言えず、トップ就任時には「ビジュアル特化コンビ」と評されたに違いない。

あーちゃんは千秋楽の挨拶で「紅さんがいなかったら、今の私はない」と言ってましたが、2人が優等生コンビではなかったからこそ、支え合いながらも遠慮なく言い合い、2人でできる最善の舞台が作れたのではないでしょうか。 (当て書きセリフの多い食聖で、あーちゃん演じるアイリーンも「不完全だからこそ支え合い、愛し合うんだ」って言ってましたね) 礼真琴さんをはじめとする組子の全力の支えもあり、結果として作品にも恵まれ(ファーストインプレッションは良くなくても、見れば面白い)、星組の一時代を築かれたと感じます。

舞台の端のスターまで応援しよう!

私には今、こっそり応援している下級生がいて、彼女も決して優等生ではありません

彼女には役名がつかず、モブ役を重ねる一方で、既に同期から目立つ活躍をする方が出てきており、正直、今から路線スターになるとは思えていません。が、紅さんを見ていると、そう思うことが彼女の可能性を限定しているのかもしれないと思えてきます。

お手紙、誰にも書いたことないけど書いてみようかなぁとか思えてくる。

紅さんが言っていたように、舞台の端にいるスターまでしっかり見て、応援しよう。後から後悔しても遅い!

ご本人だけでなく、後輩の応援の仕方まで教えてくれた紅さんは、偉大なタカラジェンヌだと思います。ご本人が望まない「元タカラジェンヌ」になってしまうけど、紅さんのスター力があれば、未来も明るいはず。 これからのご活躍を期待しています。

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